イラスト:小林マキ
体がだるい、肩こりがひどい、よく眠れないなど、常感じる不調を年のせいとあきらめていませんか? そうした、「なんとなく不調」の改善には漢方が有効です。漢方薬の上手な取り入れ方を専門医に聞きました (イラスト/小林マキ 取材・文・構成/葛西由恵《インパクト》)

「気」「血」「水」の異常で不調が表れる

「不調を感じてはいるけれど、日常生活は乗り切れているから大丈夫、と考える人は少なくありません。しかし、年齢を重ねるにつれて症状は重くなっていきますし、いずれ病気に発展してしまう可能性が高いのです」と注意を喚起するのは、漢方クリニック・修琴堂大塚医院院長の渡辺賢治先生です。

たしかに、病院に行くほどでもない不調はつい放置しがち。漢方医学では、そうした何らかの体調不良を抱えている状態を「未病」といいます。

「未病とは、字が示す通り、未だ病になっていない状態。つまり『健康』と『病気』のあいだを意味します。多くの人は、病気になってから病院に行こうと考えますが、些細な不調も体の機能のバランスが崩れている証拠。軽視してはいけません」(渡辺先生。以下同)

漢方医学では、不調が起こるメカニズムを、人体を構成する「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素が不足したり、バランスが崩れたりすることで起こると考えます。「気」は生まれ持った人間のエネルギー、「血」は血液、そして、血液以外の体液が「水」で、リンパ液、関節液、消化液、尿、涙、汗などすべてをさします。

「『気』が不足すれば、疲れやすくなったり、食欲不振に陥ったり。『血』が滞れば、全身に栄養が行き届かなくなるため、貧血を起こしたり、皮膚がかさつき白髪が増えたりします。さらに、『水』のバランスに不具合が起こると、頭痛やめまい、むくみなどの症状が表れるのです」

症状が一過性で済めばいいのですが、慢性化し体調不良が長期化することも多いため、放置しないことが肝心。

漢方医学では、多くの人に起こりがちな「気」「血」「水」の異常を下の表に示した6つのタイプに分類しています。自分の不調の傾向がどのタイプに当てはまるかを知っておくと、不調に備えて早めの対策ができるでしょう。