自律神経をいたわる習慣、逆効果の習慣

梶本 今や「人生100年時代」と言われますが、現代でも発展途上国で平均寿命が50代なのは、本来、自然界で耐えうる自律神経の寿命がそのあたりまでだから。私たちは先進国の快適な環境にいるために、かろうじて生きていられるだけなのです。そう考えると、50歳を超えたら無理をしないこと。自律神経をいたわる生活を心がけるべきでしょう。

松本 では、運動もハードなものはむしろ負担なのでしょうか。

梶本 汗をかくような激しい運動をすると、体温や心拍を調整するために自律神経がフル稼働しなくてはなりません。特に朝起きてすぐの運動は、自律神経がしっかり目覚めていないので、心筋梗塞や脳卒中などを起こしやすい。

松本 私は登山が好きなのですが、遠出するには早起きしなければならなくて。これも危ないですか。

梶本 前の晩に早寝してしっかり睡眠時間をとること、疲れたら無理をせず引き返すことが大切です。

松本 汗をかくといえば、熱めのお風呂に入るのが大好きなんです。体が芯から温まり、スッキリする気がして。

梶本 熱いお湯に肩までつかる全身浴は、交感神経が優位になり、上がり過ぎた体温や心拍を調整するために自律神経が疲れてしまいます。さらに、長時間入浴すると熱中症リスクが一気に高まるのです。40℃までのぬるめのお湯で、10分以内がおすすめです。