師事する宮嶋秀行さんとペアを組んで踊る槇村さん(撮影:スタジオひまわり)

社交ダンスには、自分に足りないものが全部ある

生きる意欲が出てくると、今度は「踊りたいなあ」と思うようになりました。じつは、いま社交ダンスに夢中なのです。

もともとジャズダンス世代のダンス好き。なぜ社交ダンスだったのかというと、一番の理由は、「そのときの自分に足りないものが全部ある」と思ったから。女性らしく着飾ること、男性と触れ合うこと、メイクをすること、音楽、光……。病気のとき、死にたいと思いながら過ごしていた時間とは、すべてが正反対だったのです。

やってみてわかったのは、体力づくりになるのはもちろん、ドレスを着て男性と踊ることで気分もアガる、一石二鳥の健康法だということでした。

はじめて見学に行ったときに、世界観が非日常すぎて、「なんだこりゃー!」とショックを受け、「社交ダンスのスピードの秘密を知りたくなった」ことも動機の一つ。その後、バレエのトゥシューズはなぜあんな小さな面積で立てるのかが気になって、バレエをテーマにした作品を描き、その流れで大人バレエにも挑戦してしまいました。(笑)

現在、社交ダンスのレッスンは週に2回、1時間ずつ、もう6年続けています。私の専門はタンゴ。なにせ猫背の漫画家なので最初はまっすぐ立つこともできなかったけれど、いまでは毎回、汗をダラダラかくほど踊っている。気持ちが上向き、体力もついて、まさに最高の健康法だと思っています。