「はじまりは、40代の半ば頃。めまいがひどくなって歩けないほどになり、『これが噂の更年期か』と。」

見事に、女性ホルモン値はゼロ

ところがそれから3年が過ぎた頃に、また別の大きな波がやってきました。前向きな性格の私が抑うつ状態に陥ってしまったのです。

漫画を描こうとして手は動くけれど、意欲がわいてこない。毎日、つらくて泣きたくなる。漫画家の性(さが)と言いますか、天井を見上げて、「あそこに紐をかけてぶら下がったら死ねるなあ……」と考えたら、ぶら下がっている自分の絵まで見えた。これは相当まずい状況だな、とゾッとしました。

そんなある日、「もしかしてこれらの不調は、また更年期がらみ?」という考えが頭に浮かび、雑誌で見かけたクリニックで検査を受けてみたのです。すると見事に、女性ホルモン値はゼロ(笑)。そのとき私は、58歳でした。

医師に「鉄分が足りません。まず今週中に3回鉄分注射を打って体調を整え、そのあとで女性ホルモンを補充する治療をしましょう。橋本病も見つかったので、そちらの治療も必要です」と言われてビックリ。鉄分不足も橋本病(慢性甲状腺炎)もうつの原因になるそうで、なるほど、と納得してしまいました。

鉄分を注射するようになってから、だんだんと精神状態が落ち着き、橋本病の治療とホルモン補充療法を始めたところ、体の調子も上向いて。ホルモン補充療法の効果は顕著で、冷えを感じなくなってきました。クリニックに行ってから半年ほどで心身ともに元気になり、いまのところ調子がいいのでこの治療を続けています。