北の湖は即答した

幕内上位の力士はみんな相撲がうまいけれども、差がでるのが心の持ち方だと思う。

大関になり、横綱になり、その地位を守り続け、最後はファンに惜しまれながら引退し、語り継がれる力士は、心が強い。優勝を前にしても本来の力が出せる。これは生まれつき、とういうよりは、自分の心の持ち方をコントロールするのがうまいのである。一番大切なことは何かを、常に選べるのだ。初代若乃花、大鵬、北の湖、千代の富士は、もう亡くなったので話は聞けないが、生き方の参考になる話をしていた。だから大横綱になれたのだ。

北の湖は強すぎて人気がなかった。私が国技館(当時は蔵前国技館)に観戦に行った時、「どうせ北の湖は勝つ、帰りは混むから」と、帰ってしまう観客たちがいた。

その北の湖が親方になりNHKテレビで解説をした時のこと。アナウンサーが、明日負けたら負け越しの力士について、どういう相撲を取ったらよいかとたずねたことがある。北の湖は即答した。「これはもう、なにがなんでも勝たなくてはいけない」と。千秋楽への格言は、これです。

大関の正代、元大関の栃ノ心、そのほか7勝7敗の力士の方々も暴れてください。

春場所開催中の国技館(撮影:編集部)

※次回は3月29日の予定です

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