『婦人公論』4月13日号の表紙に登場している森山良子さん(表紙撮影:篠山紀信)

「ママに育てられた覚えはない!」

私は23歳で最初の結婚をして長女を出産しましたが、長く続かず離婚。その後再婚し、28歳のときに生まれたのが長男の直太朗です。残念ながらこちらもうまくいかず(笑)、シングルマザーとして子育てをしました……と言いたいところなのですが、二人からは異口同音に、「ママに育てられた覚えはない!」と言われています。皆思ったことをハッキリと言うから凹むこともしばしばです。(笑)

仕事で留守ばかりの私に代わって子どもたちの面倒を見てくれたのは、私の父と母。トランぺッターだった父は穏やかで、優しく楽しい人でした。母はとても働き者で、いつも台所に立っていました。お味噌汁は鰹節を削るところから始めるといった具合でしたね。おかげで子どもたちは健康に育ちました。

当時の私は両親に「子どもたちを甘やかしすぎ」などと文句を言いましたが、世界で一番信頼できる存在の両親が子育ての半分以上を担ってくれたことは、本当に恵まれていました。

一緒に過ごす時間が少なかったからとは思いませんが、子どもたちとは難しい時期もあって。でも二人ともおしゃべり好きで、私が家にいるときはよくおしゃべりしました。学校でこんなことがあったとか、そんな話からどんどん発展し、話をしているうちに、「あら、夜が明けてきちゃった、寝ようか」なんてこともありました。