「よく『北海道はのどかでいいですねえ』と言われますが、全然のどかじゃない。冬はバンバン人が死ぬ。死と隣り合わせの暮らしです。」(バービーさん)

「これくらいじゃあ死にゃーせん」

バービー 学校から集団下校させられるのは熊が出た時くらいです。山から下りてくることがあるんですよ。よく「北海道はのどかでいいですねえ」と言われますが、全然のどかじゃない。冬はバンバン人が死ぬ。死と隣り合わせの暮らしです。

多いのは、雪の中で車が立ち往生して排気ガスが車内に入り、一酸化炭素中毒になるケース。あとは雪の下敷きになったり。特にお年寄りは「危ないから外に出るな」と言っても出ちゃうから。

高良 九州は台風がよく来ます。シーズン中はしょっちゅう学校が休みになり、そのぶん冬休みが短くなる。自然が豊かということは、同時に厳しさもあるということで。

バービー 九州の男性は、強い《九州男児》のイメージがありますね。

高良 男がドーンと構えているのは九州のいいところでもあります。ただそれは、「男なら格好つけなさい」という、祖母や母など周囲の女性の言葉に影響されている部分もあって。よく「九州の女性は外では男を立てるが、家の中では手のひらの上で転がしている」と言われますが、否定はしません。(笑)

バービー 高良さんは、どんなことを言われて育ったんですか?

高良 祖父によく言われたのは「それくらいじゃあ死にゃーせん」。たいていのことはこの一言で片づけられました。今も少々つらいことがあっても「これくらいじゃあ死にゃーせん」と考えるのが癖になっていて、そのたびに「ああ、おじいちゃんの言葉だ」と思います。バービーさんの家は厳しかったですか?

バービー 私は末っ子なので、完全に放置されていました。うちは兄・姉・姉・私なんですけど、兄は長男だから早く社会に出ないといけないと言われ、高卒で就職しているんです。姉や私は進学したのに。普通は逆ですよね。思春期には「もっと構ってよ!」という気持ちで隣の畑まで家出したりしましたが(笑)、今思えば「女なんだから好きにしなさい」と放っておかれてラッキーでした。高良さんは、どういうきっかけで芸能界に?