101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。

<100歳の100の知恵 16>

『自分を癒すためにプチ家出をしてみた』

いろいろ重なって、精神的に追いつめられていたのでしょう。仕事と家事、夫の世話に、姑の介護が加わり、いよいよ私は忙しくなりました。身も心も疲れ切ると、ふっと、ひとりになりたいという思いが心の底から突き上げてきたのです。

そんなとき私は、家族にも誰にもいわず、突然ひとりで山を見に青梅に行ったり、海を見に横浜に行ったりしました。ほんの2、3時間でもいい。すべてから解放される自分の時間がほしかったのです。気持ちがささくれだったままだと、家族にもイライラした態度をとってしまうかもしれません。そうならないため、ときには嘘をついてまで、ひとりでどこかに出かけていました。自分を癒すため、必要な時間だったのです。

プチ家出は、自分をリセットするひとつの手段。いろいろな感情がたまってきたとき、パッと家を飛び出して自分ひとりの時間を持つのは、気持ちを切り替えるためのいい方法だと思います。

 

 

 

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