【レッスン1】人の反応をいちいち「見ない」

趣味のサークルで「この後、ランチに行きませんか?」と誘われた。コロナも心配だし本当は早く帰りたいのだけれど、「私だけ行かないと、『神経質な人ね』と思われるかも」と想像してしまって断れない。実際、ランチの席では「コロナなんてただの風邪よ」といった発言が出て、あいまいに笑っていたら、冷たい眼で見られてしまった――。

このように、起きたら嫌なことを想像すると止まらなくなるのが「NOと言えない」人の特徴です。気を回しすぎるのも十分ストレスですが、気を付けたいのが自己暗示のワナ。仲間外れにされたらどうしようという想像が自己暗示となって、コミュニケーションがぎこちなくなってしまいます。

このような人に有効なアドバイスは、余計なものを「見ない」こと。こうなったら嫌だ、困るという心配が浮かんできたら、「私は未来を見ません」と心の中で唱えてみましょう。

もう一つ、人の反応をいちいち「見ない」ことも重要です。相手がちょっと眉を上げただけで、「何か気に障ったのかな」とオロオロしたり、軽く「えーっ」と言い返されたことで、「怒らせてしまった」とおびえたり。しかしそれは、脳の勘違いであることが多いのです。

NOと言えない人は周囲に気を使うため、「自分は相手のちょっとした反応にも敏感だ」と思いがちですが、実はそれも妄想かもしれません。これはストレスで脳が常に緊張状態にあると、相手の表情や言葉のニュアンスを把握する能力が低下してしまうせいなのです。

でも安易に「何か失礼がありましたか」と相手に確かめるのは注意が必要です。人間は暗示にかかりやすいため、「そう言われれば自分は不愉快かも」と言われた相手が思い込み、やぶへびになってしまう危険があるからです。NOと言えない人は、「自分はつい悪いほうへ考えがち、相手の反応を読み違えがちだ」と意識する練習を重ねていきましょう。