【レッスン2】困ったときは「そう、そうなの、そうなんだ」
親の介護を今後どうするかという話をしたとき、妹が「うちは子どもの受験があるから」とポツリ。他に何を言ったわけでもないのに、姉は「それは大変。忙しいなら私が全部やらなくちゃ」と思い込む。それで実際に一人で頑張りすぎ、「何で私ばっかり」と後からぶつぶつ恨み節――。
「NOと言えない人」の特徴として、相手の言葉を真に受けすぎるということもあります。
実際には、相手の言葉から勝手に妄想を膨らませ、断れない状況をつくり出しているのは自分です。もしかしたら、その「真に受ける性格」を周囲が利用して、面倒なことを押し付けている可能性もあります。
こうした状況から逃れる魔法の言葉として、私がカウンセリングで勧めて効果を上げているのが、「そう、そうなの、そうなんだ」の3語です。何か面倒な頼まれごとや相談をされて、関わったら大変だと予想されたときには、この3語だけで返答するのです。肯定も否定もしない相づちとして使います。
たとえば前述の妹に対しても、「子どもが受験で……」「そう」、「時間がないから……」「そうなの」、「実家に通えないかも……」「そうなんだ」と会話を進めていけば、そのうち向こうから「お父さんたちの年金で介護サービスを頼もうか」といった建設的な意見が聞けるかもしれません。
加えて、「NOと言えない人」は、困っている人に共感・同情すると同時に、どこかで相手を「かわいそう」と見ていることに気づいていただきたい。付き合う男性をことごとくダメ男にしてしまう女性、いい年をした息子や娘を甘やかす母親がまさにこのタイプ。あれこれ先回りして手を貸すことで、相手の成長を阻んでいるかもしれない。その連鎖を断ち切るためにも、魔法の3語は非常に有効です。特に遠回しにお金の無心をされたときは、「そう、そうなの、そうなんだ」でおおむね撃退できるでしょう。