送られてきた手紙には
そのうち友人から電話があり、Aが入院したと言う。半年後には友人経由でAの手紙が送られてきた。
「私はあなたの子供のことでひどい発言をしたせいで、体調を崩し、入院しています。医者から、相手に謝ってみたいと感じるなら、手紙を出してみなさいとアドバイスされました。本当にごめんなさい。相談する夫もいない私をどうか理解してほしい」と、長文がつづられていた。Aが何の病気になったのか知らないけれど、私が返事をして、万が一彼女が変調をきたしても、責任がとれない。今返事をするのはよそうと思った。
人間は誰だって困難に直面して苦労する。けれどどんな事情があろうと、言うに事欠いて、しかも自分のわがままが通らないことを棚に上げて、人の子を「生まれてこなければよかった」と言うなど、絶対許されない。自分が誰かに、「Aさん、生まれてこなければよかったのにね」と言われたところを想像してみればいい。
連絡を絶ってから長い年月が経ち、Aは今頃何をしているかなとふと考えるくらい、私も老いた。残念な出会いだったが、誰かを傷つける言葉を吐くことなく、相手の立場になり会話を楽しむことが大切だとAの一件で学んだ。
我慢していれば、たまには生きていてよかったと感じる一瞬が訪れるものだ。これも人生の一コマ。家族が仲良く健康に暮らしていられれば、これ以上の幸せはない。
※婦人公論では「読者体験手記」を随時募集しています。