リビングを見回すと、たくさんの発見が

具体的な作り方に入る前に、まずは俳句の基礎をお伝えします。俳句は五七五の十七文字で成り立っています。つい3つのパートを分かち書きにしがちですが、五七五の間は空けずに一行で縦書きにしましょう。そして、一句に1つ季語を入れます。さらに句の中の仮名遣いや漢字、ひらがな、アルファベット、カタカナなどの表記は自分で選んで決めてください。

では、さっそくリビングルームを見渡してみましょう。リビングはくつろぐための部屋なので、無意識にそこに《いる》ことが当たり前の場所ですよね。でも、ひとつひとつ見てみると、たくさんの発見があります。

たとえばリビングの机の上に、何がありますか? もしテレビのリモコンだとしたら、「リモコン」で四音。それに何か助詞をつけてみましょう。「リモコンが」とか「リモコンに」。これで五音になります。

新聞紙だと、それだけで五音。五音が手に入ったら、俳句の3分の1がもうできているわけです。これに五音の季語を1つつければ、3分の2ができる。残りはたった七音です。ほら、簡単でしょう?

イラスト:曽根愛

たとえば、飼っている猫がいたずらして新聞紙の端を齧ったとします。「猫が齧った新聞紙」で十二文字。これに季語をつけてみます。もし外出できない気分だったら、春の季語の「菜種梅雨」とか。

〈 菜種梅雨ねこが齧った新聞紙 〉

ほら、あっという間に一句ができてしまいました。