手にしてもらいたい俳句歳時記

台所は季語の宝庫。食材はほとんど季語です。「韮(にら)」、「独活(うど)」、「桜鯛」、「蜆(しじみ)」などは春の季語。意外なものでは「目刺」もそう。

夏の季語には、「キャベツ」、「玉葱」、「メロン」、「鮎」、「初鰹」、「ほや」などがあります。

今は野菜なども、旬がわかりにくいですね。でも季語を調べると、もともとの旬を知ることができ、楽しい発見があります。

大根も一年中あるけれど、冬に大根を買って「あぁ、冬の季語だよね」と思うと、ちょっと暮らしが豊かになる気がしませんか? ふろふき大根もおでんも、よりおいしく感じられそう。そこに熱燗でもあれば、もう万々歳です。

そこでぜひ手にしてもらいたいのが俳句歳時記です。冷蔵庫で野菜を見つけたら、「これ、いつの季語かしら?」と歳時記をめくると、もう、「ほぉー」の連続です。食材から季節がわかって、楽しくなりますよ。

暦の上では、春の始まりは「立春」、2月4日です。まだまだ気温は低いですが、この頃から少しずつ光が変わってくるのを感じませんか? 俳句をやっている人は、この日から歳時記を春の季に持ち替えます。

夏の始まりの「立夏」は、5月5日頃。5月といえばまだ春気分の人も多いかと思いますが、もう夏なんですね。そう思って空を見てみると、確かに太陽の力が違うことに気づくはず。暦の季節を知り、それに敏感になると、そこに示された日本の四季の移ろいがだんだん肌でも感じられるようになります。俳句に親しむと、そういう感覚が持てるようになるのです。