イラスト:曽根愛

「メモを取る」を習慣に

せっかく五感で何かを感じても、一瞬の感覚は、簡単に忘れてしまうもの。何かを見つけたら必ずメモを取ることを習慣づけましょう。

俳句をやっている人は、メモするための句帖を必ず持ち歩きます。最近はスマホにメモする人もいるようですね。とにかく何か面白いことはないかと、電車の中でもキョロキョロ。待ち合わせで相手が遅れてもぜんぜんイヤではなくなりますし、家にいても退屈するヒマがありません。

メモを取る際は、十七音にこだわる必要はありません。五音だけでもいいのです。書き留めた言葉のなかに、「季語とうまく合いそうなものがある」「ちょっと説明したらヘンテコで面白いものになるな」とか、必ずそういう小さなタネが転がっています。

小説などと違って俳句は短いので、そうやって生活のメモ書きから五七五の並びが浮かぶように。それをたくさん作っていくのです。すると、その中に必ずまぐれ当たりがあります(笑)。下手ななんとかじゃないけれど、いっぱい生活のメモを取った人の勝ちです。まずはゲーム感覚で言葉集めを始めてみませんか?

また俳句を作りだすと、皆さんいろいろなことを調べ始めます。十七音しかないなかで意味を込めようとすると、おのずとその言葉の背景を知りたくなるからでしょう。あるいは不思議な言葉や、流行っているけれど実は意味のわからない単語を句に取り入れるには、知らないままではいられません。

NHKのEテレで不定期に放映される『575でカガク!』という番組では、「ミトコンドリア」など科学の言葉をお題にして俳句を募集しています。それまで科学にあまり興味がなかった方も、調べてみたら面白いことがたくさん見つかりますよ。

このように俳句を始めると、自分から学ぶ機会も増えていきます。

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