1:近所をドライブしていると、気持ちいいほど広い場所が。止まって深呼吸。菜の花の奥に見えるのは国見山地/2:朝日がリビングに差し込んで気持ちいい/3:園芸センターで最近見つけて気に入っている観葉植物。南米の蘭の一種だそう

片づけられなければ、それは不要なもの

父親が転勤族だったので、日本、ドイツ、アメリカで育ち、結婚後も夫とともに、ロンドン、香港で暮らしました。引っ越しは20回以上、経験したでしょうか。

子どもの頃、母にいつも言われたのは、「自分のバッグに入るものしか、引っ越し先には持っていけませんよ」ということ。空間には限りがある。それを知ると、ものはうんと減らせます。

母は片づけに関しても厳しかった。「夕方5時に部屋をチェックします」と言って、長い棒を片手に私たち3人きょうだいの部屋を見回ります。きちんとしまわれていないものは「いらないもの」とみなされ、「処分します」と。ベッドの下に隠しておくと、棒で掻き出される(笑)。

何が必要で大事なものか、自分で考え選ぶこと。大事なものは自分でちゃんと管理し、片づけられなければ、それは不要なもの。子どもの頃は漠然とでしたが、今はしっかり私のものに対する心得のベースとなっています。

コロナ禍の今、家で過ごす時間が増えました。私の母の国ドイツは、冬は寒いこともあって、もともと家で過ごす時間が長いため、家族がリフレッシュする場所として家をとても大事にしています。人と会うときも、外ではなく家に招いたり招かれたり。

まして、海外で住まいが替わることの多かったわが家の場合、言語や文化が違うこともありましたし、新しい環境に慣れるまではストレスもかかります。それだけに、家に帰れば、家族がいて、安らげて、いつも居心地がいい。そういう場所をつくることはとても大切だったんですね。

家での暮らしは、人の気持ちを大きく左右するもの。そして、その心地よさは人生の豊かさに大きく関わってくると私は考えます。だから、どこに住もうと、「今ある場所で心地よく、快適に暮らす」を目指すのです。