1:義理の父が植えた梅の木には今年も実がなった/2:お気に入りの椅子では朝の光で新聞を読むのが好き

スターバックスもドトールコーヒーもないけれど

ここ鹿屋で暮らすようになって新しく見つけた私の好きな場所・時間は、玄関横のベランダでの、庭を眺めながらのティータイム。東京では、近くのカフェで過ごす、ひとりの時間が好きでした。ここには、スターバックスもドトールコーヒーもありません(笑)。けれど、緑の樹々に囲まれた平屋の一軒家には鳥がよく飛んできて、そうした光景を、1時間以上も飽きずに眺めていられるのです。

座っているラタンの椅子は、タイの雑貨屋さんで手に入れたもの。売り物ではなかったものを、夫が「これ、いいですねえ」と頑固な店主に迫って(笑)、数年かけて売っていただいたのです。

ものを買うときは、「今、本当に必要か」をじっくり考えた結果、あきらめることも多いのですが、自分のなかで「何を買ってもよし」と許すのが旅行のとき。旅先の骨董屋さんで気に入ったものを見つけた場合、通り過ぎたら、もう二度と出会えませんから。ベランダの椅子も、そうして買い求めた愛着のある品です。

家の中にもお気に入りの場所があって、それはダイニングルームの窓際、椅子を置いた小さなコーナーです。窓から差し込む光が気持ちよく、読み物をしたり、靴下やウールのセーターの補修をするときはここで。棚一段に、自分の好きなものだけを集めてもいいですね。あるいは、壁の一面だけに好きな絵を飾ったり、雑誌の切り抜きをマスキングテープで貼ったり。そこは、家族の誰のものでもない「私だけのお気に入りコーナー」になります。

今この時代になっても、女の人は、家族のことを優先し、自分のことは後回しにしてしまうことが多いですよね。日本に限らず、ドイツもそう。自分の居場所や時間をもっと大事にしてほしいし、自分の幸せのためにエネルギーを使うことを惜しまないでほしいと思います。何も大袈裟なことではないのです。