撮影:初沢亜利
コロナ禍をきっかけに家で過ごす時間が長くなり、園芸に目覚めた人も多いようです。 手をかけたら応えてくれる植物は、言葉は発せずとも癒やしをもたらしてくれます。10年間、『趣味の園芸』のナビゲーターをつとめた三上真史さんに、植物を上手に育てるコツを聞きました(構成=岡宗真由子 撮影=初沢亜利 スタイリング=齋藤孝伸)

「コンパニオンプランツ」のすすめ

庭がなくてもベランダのプランターで家庭菜園にチャレンジできます。でも、地植えと違ってプランターで野菜を育てるのは、水やりや害虫対策が少しだけ難しい。

そこで僕がお勧めするのが「よい影響を与える植物と一緒に育てること」です。「コンパニオンプランツ」といって、トマトを育てるならバジルがそれに当たります。水を限界までやらないほうが美味しく育つと言われるトマトですが、バジルがあるとたくさん水を取り込んでくれるので、水やりの調整が楽になります。

三上さん作の寄せ植え。トマト、バジル、オレガノ、マリーゴールドが1鉢に。「この鉢でトマトとバジルのパスタができますよ。キッチンの近くに置いて活用しています」と三上さん

どんな野菜と一緒に植えても相性がいいのはマリーゴールドです。センチュウという害虫を寄せつけないだけでなく、夏の暑さにも強いため、花もたくさん咲かせて受粉を助ける蜂を呼び寄せる効果も期待できます。

虫が苦手、土を触ることに抵抗があるという方にお勧めなのは、室内での水耕栽培です。バジルやイタリアンパセリなどのハーブ類はポリポットから出して丁寧に土を洗い落とせば花瓶やコップでの水耕栽培に切り替えられます。まだ幼いうちであれば土がない環境に慣れて育つことができるのです。

水耕栽培というと球根を思い浮かべる人も多いかもしれません。球根は全体が水に浸かると育たないので、球根専用の花器があるとベストです。持っていなければ、コーヒーショップのテイクアウト用のフラペチーノのカップで代用できます。蓋を裏返して球根を乗せると球根は水の上に、球根の根は水に浸かる状態を作り出せてぴったりなんです。