イメージ(写真提供:写真AC)

理解できない行動をとる可能性もある

これまでの日本では、そういった「違う」子を区別してきました。しかしそれでは進展がありません。「彼は『違う』子だから治療する」「ほかの集団に移す」といった発想にしかならないわけです。

自らの経験や知識に乏しい人が、A君の行為を受け入れることは容易ではないでしょう。

一方、最初から自分とは「違う」認知特性や、性格特性を有する人がいるのが当たり前で、理解できない行動をとる可能性がある、という事実を理解しておけば、次に出会ったA君のような子どもにも、温かく接することができるようになるはずです。

 

発達障害と診断される子どもがなぜ増えているのか

最近では自分の子どもが発達障害の診断を受けた、と相談される機会が増えています。国が積極的に発達障害支援を進めているという影響もあるのかもしれません。

なお私自身の考えを記せば、単にユニークなだけの子どもまでが発達障害の診断を受け、治療を受ける機会が増えているようにも感じており、そうした流れには危機意識を持っています。

もちろん社会に適応できず、子ども本人が困っているケースもあるでしょう。しかし、多くの場合は本人ではなく先生や親が困っているだけ、というのが現実です。子どもが一人で好きにしている分には何も問題ない。なのに、集団に適応するために治療が行われている、というのが実態ではないでしょうか。