ところが40分ほどが経過した頃、フッと「でも私も悪いんです」と切り出したのです。実は、ここからが私の出番。「なぜそう思うのですか?」と投げかけると、彼女は「私も意地になっていました」と。

そこから「私たちは似た者同士だから、お互いの欠点が目につくのかもしれません」と自己分析を始め、「今後は義母に寄り添ってみます」と続きます。そして最後には、「ありがとうございました。おかげでスッキリしました」と帰って行きました。

私は彼女に何も伝えていないのに(笑)。必要なのは、助言ではなく、聞いてあげることなんですね。

人の心は、毒を出し切れば、清水が湧くように自然と清らかなものへと転換します。そして、清らかな心で過ごす気持ち良さに目覚めれば、もっと優しくなろう、もっと忍耐強くあろうと決意する。これが心安らかな人生の第一歩となるわけです。

人に話すのが嫌なら、ペットに語りかける。独り言でもいいでしょう。出すことのない手紙をしたためるのも一案だと思います。

 

「ありがとう」は奇跡を起こす言葉

新型コロナウイルスの影響で、私たちのライフスタイルは一変しました。そうしたなか、夫と過ごす時間が長くなり、ストレスが沸点に達しているといった妻からの相談があとを絶ちません。

些細なことでイラッとする自分に落胆してしまう、という方が目立つのですが、ネガティブな感情を抱いてしまうのは仕方のないこと。私もカチンとくることはあります。そんな時は「今、カチンときているな」と思うに留め、自分を責めたりはしません。

たとえ怒りであっても、感情が動くのはありがたいもの。そしてネガティブな感情が増幅する前に、心の中で「ありがとうございます」を繰り返すのです。なぜ、誰に対して感謝するのか、などということは考えず、ひたすら唱え続ける。すると心が満たされてきて、気づけば穏やかな気持ちになっている。「ありがとう」は奇跡を起こす言葉なのです。