学生でも声を上げれば国がひっくり返ると信じてた
中野 昔、『アップダウンクイズ』ってあったでしょう。
高田 あった。夢のハワイ旅行に行けるんだよ。
中野 ゴンドラで8段目まで上がったのに、1問間違えただけでズドッと下まで落とされるみたいなものよ。それで、父がいた新聞社の出版局でお茶くみをしたの。
高田 お茶くみって仕事、昔はあったんだよな。メインはお茶を淹れることなの?
中野 それが、本当にお茶を淹れるのが仕事のメインなのよ(笑)。何十人もいるフロアで、朝と昼と2回、淹れて配るのはけっこう大変だったんだけど。1年くらいして、既卒者でも受けられる試験があったから主婦の友社に入ったの。
高田 俺と中野さんは2つ違いのほぼ同世代だけど、俺のまわりはあまり企業に就職しなかったような気がするね。
清水 大学紛争の世代だから?
高田 就職は「体制に負けた」って言われたもん。元祖フリーターの世代よ。
中野 卒業時期が遅れたり、就職するにもいろいろ影響が出たしね。
清水 三島由紀夫と東大全共闘が対峙した、あの学生側と同じ主張だったってことだよね。
高田 最初のうちは、朝日も毎日も1面で学生の味方をしてた。だから学生でも声を上げれば革命が起きる、国がひっくり返る、と信じてたんだよ。俺はバリケードのなかへ差し入れ持って、通ったね。
清水 あははは。わかった、高田さん、そういう役割だったのか。