タモリさん、永六輔さん。憧れの人たちと

中野 清水さんがこの世界に入ったのはタモリさんのファンだったからなのね。

清水 タモリさんのLPが大好きで、こんなネタが書けるなんてすごい、と思ってよく見たら、構成作家の人がいたの。それで高平哲郎さんにファンレターを出したんだけど、後年、「覚えてもいない」って言われましたね。(笑)

高田 俺は永さんからちゃんと返事がきたよ。まあ、永さんは筆まめだから返事くれる人なんだけど。大学4年のとき、それこそ就職もしたくない気分でさ、俺、安藤鶴夫の弟子になろうと思ったの。

中野 なにをしようと思ったの?

高田 頭のなかでさ、絣(かすり)と唐桟(とうざん)の着物で庭の枯れ葉なんか掃きながら、原稿を書くアンツル先生に「お茶が入りました」なんて言うの。わかばでたい焼き買って「先生」って差し出す……(笑)。ああ、このかたちだなあって思ったのに、その年に亡くなっちゃったんだよ。

清水 それで永さんに手紙を?

高田 そしたらハガキがポツッと返ってきて、「高田君へ。私は弟子無し師匠無しでここまできました。友達ならなりましょう」って。

清水 わあ、優しい。

高田 2年前だったかな。知らない若者が訪ねてきて、誰かと思ったら、永さんの孫なんだよ。

清水 拓実くんね。(笑)

高田 飯食いながら「もうすぐ大学出ちゃうんだけど、どうすりゃいいかな」なんてモジモジしてる。「高田さんの弟子になろうかな」って言ったから、「俺は弟子なし師匠なしでここまできました。友達ならなりますよ」って言ってやったよ(笑)。中野さんは、誰かにファンレター出したことある?

中野 うん、松島トモ子ちゃん。

清水 へーっ!

中野 昔は有名人の住所が、当たり前みたいに載ってたじゃない。にがお絵を描いて送ったけど、お返事なかったからその一度きり。

高田 あのころの少女雑誌の表紙は、ほとんど松島トモ子か小鳩くるみだったよな。で、男は小柳徹。そうそう、小柳徹は運転中に事故死したじゃない。それ、明け方に第三京浜を走ってた景山民夫が反対車線で見てるんだよ。翌日、ニュースであれが小柳徹だと知ったってエッセイに書いてた。