イラスト:小林マキ
何らかの拍子に、こめかみや目の奥がズキズキと痛くなる「片頭痛」。仕事や家事が手につかなくなり、実にゆううつです。特に梅雨時は起こりやすくなるため、対処法を知っておきたいところ。痛みが起こる原因と対策法を聞きました(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/葛西由恵《インパクト》)

何日も寝込んでしまうほど重症化するケースも

「心臓の拍動に合わせて脈打つように痛む『片頭痛』は、脳の血管が拡張することで発症します。男性より女性に多くみられるのが特徴です」と話すのは、東京頭痛クリニックの丹羽潔先生です。

痛みの程度や頻度には個人差があるようですが、定期的に痛みが出たり、なかには何日も寝込んでしまうほど重症化するケースも。

「片頭痛が女性に多いのは、女性ホルモンの変動に関係しているからです。女性ホルモンのエストロゲンが大幅に減少すると、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンも減少します。セロトニンは、血管収縮をコントロールしたり、痛みを抑える働きをしているため、減少すると、痛みを感じやすくなるのです」(丹羽先生。以下同)

女性ホルモンのバイオリズムに左右されるため、特に生理中は片頭痛が起こりやすいという話をよく耳にします。一方、まったく片頭痛が出ない人もいるのはどうしてなのでしょうか? そこには遺伝的な要因が大きく関わっている、と丹羽先生。

「両親のどちらかに片頭痛があれば、50%の確率で遺伝し、両親がともに片頭痛持ちであれば、85%の確率でその体質を受け継ぎます。そうした遺伝的素地があることに加え、女性ホルモンの影響、ストレスや疲労、睡眠不足などの体調変化が引き金となっていることが少なくありません」

生活習慣が痛みに影響するのは、脳の視床下部にある自律神経が深く関わっているからともいいます。

「ストレスを感じると交感神経が刺激され、血管が収縮。その後、ストレスから解放されると急激に血管が拡張し、痛みをもたらすのです。仕事のない週末になると痛みが出るのはその典型例といえるでしょう」