イラスト:川原真由美
6月14日は「認知症予防の日」。認知症の大きな原因とされるアルツハイマー病を発見した、ドイツの医学者で精神科医のアロイス・アルツハイマー博士の誕生日です。

2021年6月、アルツハイマー病の「世界初」の治療薬が、アメリカのFDA(食品医薬品局)で承認されたというニュースが飛び込んできました。日本では2020年に承認申請が出され審査中ですが、新薬は価格が高く、しかも、毎月点滴を受けないといけないという薬剤です。

以上のような薬を使うにしても、認知症は予防、早期発見が何より大切。書学博士・筆跡診断士の石崎白龍さんと、監修者で脳神経外科医・リコード法認定医の浜崎清利さんによれば、認知症予防に「文字を書くこと」は影響するとのこと。お2人に「文字を書くこと」に注目した理由を聞きました

異変に気づいても、病院には行きたくない

最近、物忘れが激しくなってきた。もしかしたら認知症?

最近、母親がすぐにキレる。もしかしたら認知症?

もしかしたら……と自分や家族の異変に気づいても、認知症だなんて考えたくはない方が、ほとんどだと思います。

でも、認知症は初期であればあるほど、進行を遅らせることができるといわれる病。認知症の種類によっては、治療によって改善も可能です。

つまりは、早期発見、早期治療が非常に大切なのです!

そんな「病院に行くほどではないと思うけど」「病院へ行くのは億劫」という方々のために、筆跡診断士と脳外科医が提案する、認知症を「発見・予防・改善」するための文字トレーニングがあります。

 

10万人以上の文字を診断するなかで

書学博士・筆跡診断士の石崎白龍さんに、文字トレーニングを考案したきっかけについて聞きました。

「私は筆跡カウンセラー(筆跡診断士)として20年以上活動してきました。文字からその方の性格や心理状態を分析する筆跡診断は行動心理学の一つで、欧米ではグラフォロジー(筆跡心理学)といい、大学のカリキュラムにもなっています。

書道の師範でもある私は、書道教室を通じ、これまで10万人以上の生徒さんの文字を診るなかで研究を深め、子どもの文字から心理状態を読み解き、不登校やいじめといった問題に取り組んできました。さらに、地域の生涯学習センターで『文字から心の健康を診断する』というテーマの授業を通じ、文字による認知症の発見・予防・改善にも取り組むようになりました」