詐欺事件からしばらく後に、地元のフィットネスジムでできた友人を通じて一人の男性と出会いました。お付き合いするなかで、結婚の具体的な話もどんどん進んで。万引きも一時的に止まり、彼との新しい生活を心待ちにしていました。

でも、相手方の庭に運動場を作る話を私が断ったんです。私を利用できないとわかってから、どんどん男性は離れていきました。結婚式まで挙げたにもかかわらず、土壇場になって相手の家族も巻き込んだすれ違いがいろいろと重なり、歯車が狂い始めて……。

届けを出す前夜、彼から「入籍を考え直したい」と言われてしまって。極度のストレスからまた万引きが再開し、食べ吐きとともに急激に悪化していきました。

 

7回の逮捕で絶望して…

ーー原さんはこれまで万引きで7回逮捕されている。17年には初めて事件がマスコミに大きく取り上げられた。その後入院した千葉県の精神医療センターで告げられた病名は、「摂食障害および窃盗症」。治療を受け、一度は回復して退院したものの、翌18年に万引きの再犯で、執行猶予4年保護観察付有罪判決を受けた。


18年に逮捕された時はもう絶望しかなかった。4畳半の留置場で体の水分が出きったかと思うほど泣いてから、「死んで家族に償わなければ」と考えました。

治療をしても治らない。これ以上生きていても家族をはじめ周りの人を傷つけるだけ。すでに一度執行猶予がついていたので、今回は確実に実刑になる。これまでさんざん親を泣かせて、このうえ刑務所に入ってもっとつらい思いをさせるぐらいなら、早く死んだほうがいいと思ったんです。

首を吊ろうとしたけれど、留置場に紐はありません。そこで両手を頸動脈に添えて力を加えたのですが、咳き込むだけで死ねない。舌を噛んでみたけれど、やはり死ぬことができません。

その後に弁護士さんと会った時、「自殺しようとしたけれど死ねなかった」と話したんです。そうしたら「死ななくてよかった。原さんが元気になって戻ってくることを待っているファンはたくさんいます。それに、原さんが克服することで、同じ病気を抱えている人たちに勇気を与えることもできます。一緒に頑張りましょう」と言ってくださって。その言葉に、涙が止まりませんでした。