父親の海外転勤で「国語」と「社会」が壊滅的に
春佳さんは幼稚園年長時から、父親の海外転勤でアメリカ南部のジョージア州で過ごした。再び愛知に戻ってきたのは小学5年生の秋のことだった。だから日本の小学校の学習が抜けているのだ。
「アメリカにいたとき、家では日本語で話しましたが、教科としての国語を勉強していません。だから日本語の語彙や漢字の読み書きに弱くて、愛知に帰ってからも国語の問題が読み解けない(苦笑)」(豊子さん)
苦手だったのはモノの名前や地名、ことわざ、四字熟語……いろんな固有名詞や語彙が登場する国語と社会だ。「テストはたいてい壊滅的」(春佳さん)となった。
小学5年生のとき、社会のテストでこんな問題が出た。「学校にも行かず、働いてもいない、また職業訓練も受けていない人を何と言うか」。解答欄には3文字分の空欄があり、そこに該当する名称を書き込む。だが、なかなかその名称が頭に浮かばない。正答は、「ニ」「ー」「ト」だが、当時、春佳さんは苦し紛れにこう答えてしまった。
「ヤ」「ン」「キ」
本当は「ヤンキー」と書きたかったが、制限を超えて4文字になってしまう。だから、音引きは省略した。ふざけたわけではない。実際にそういう言い方もあるかもしれないと思ったからマジメに書き込んだ。