ドラマ『ドラゴン桜』。阿部寛演じる弁護士・桜木健二が「東大合格」を目標としたユニークな勉強法を次々打ち出し、高橋海人(*高ははしごだか)演じる瀬戸輝、南沙良演じる早瀬菜緒らが成長を遂げるストーリーが好評を博している。その『ドラゴン桜』を地で行くように、東大進学”ゼロ”だった学校から合格を果たしたのが、帰国子女の山田春佳(はるか)さんだ。創立60年を超える聖マリア女学院で初となる合格までの道のりとは――。
母の言葉に影響を受け
東京大学工学部で土木工学を専攻する山田春佳(はるか)さんは、母の豊子さんに言われて印象に残っている言葉がある。それは、「寛容だよね」という一言だ。
「『春佳は寛容だよね』『心が広いね』と小さい頃、母からよく言われました。『今日、学校で友達にこんなこと言われたよ』と何気なく報告したときなどに言われていたと思います。当時、その言葉の意味はよくわからなかったけれど、学校で多少嫌なことがあっても笑って話す私のことを母は言ったのかもしれません。友達や家族と喧嘩や言い合いになることはありません。私が人と喧嘩したり争ったりするのを好まず、誰とでもわけへだてなく接しよう、人を信じようとする傾向は、いい意味で母の刷り込みだったのかなと思います」
心理学にピグマリオン効果という言葉がある。「できる子だ」と思って指導をすると、期待を受けて実際に成績が上がるという現象を指す。豊子さんの言葉にはこうした”刷り込み”の意味もあったのかもしれない。
この「寛容」発言について豊子さんに尋ねると、少し考えて次のように答えた。
「私はこれまでの人生、周囲のみなさんに引っ張ってきてもらいました。学生時代も特に勉強ができたわけではなく、ただ周りの人にいい影響を受けて生きてきました。出会った人は、誰であれ、自分にとって必要な存在だと思うんです。娘にもできる限り、いろんな人を受け入れ、人との縁や出会いを肯定的に捉えるようになってほしいと思っていました。それが”寛容”という言葉になったのかもしれません」
このような母の思いは、春佳さんの明るくオープンマインドな性格に大きな影響を与える。