偏差値30台、東大合格者”ゼロ”の中学へ

加えて、帰国後の予想外の障壁となったのが、小学校の人間関係だ。春佳さんはこう話す。

「当時の学校では、帰国子女という存在がかなり珍しく、アメリカ帰りの私は学校の中でよくも悪くも浮いていました。やんちゃな男子から『英語しゃべれるからって、調子乗ってんじゃねーよ』『女のくせによ』などと意地悪されました。私は(言葉の意味がわからず)『調子に乗ってる』ってどういうことだ、なんて悩んだりして(笑)。アメリカもそうだったけど、いろんな子がいるんだな、って思いながら、それなりに楽しくやっていたんですけど、小6では学校に行くのが嫌になり、1週間ほど休んだこともありました」

母親の豊子さんも、娘の顔の表情などからそんなニュアンスを感じていた。

「地元の学校の中ではなじめないと思ったので、私立の中学を受験するという選択肢もあるよと伝えました」

そして見学に行って、一目惚れしたのは聖マリア女学院中学高校(岐阜県岐阜市)だ。自宅から2時間もかかり、通いづらい学校だったが、春佳さんはここに決めた。

自宅から2時間かかる聖マリア女学院中学校へ(写真提供:母・豊子さん)

「自然豊かな環境に学校が建っていて、見かけた在校生の雰囲気がどこか自分に似ていたんです。『私、マリアがいい。この学校になら絶対に合う』。すぐにそう思ったんです」