模試で”一点”。戻った答案用紙は真っ赤

しかし春佳さんは先生たちの期待を受け、勉強を開始することに。担任の教師が数学の教師に話を通し、春佳さんを対象にしたほぼマンツーマンの数学の補習を、放課後に実施してくれた。それは中学3年生から高校3年生の受験直前まで続いた。

『ドラゴン桜「一発逆転」の育て方』(著:ドラゴン桜「一発逆転」プロジェクト&東大カルペ・ディエム/プレジデント社)

また高校2年生の理系の選択科目で物理を選択したのは学年で春佳さんたった1人だったので、物理の先生は春佳さんがわからないことに特化して授業をしてくれた。

さらに学校のカリキュラムが国公立大受験対策向けではなかったため、春佳さんがセンター試験で選択しようとしていた「倫理」や「政治・経済」の授業は存在していなかった。ところが春佳さんのためだけに他の社会科の教師が教えてくれた。

高校2年生の冬に部活が終了した後、受験対策をスタートさせた春佳さんの実力が徐々に上昇すると、教師たちの指導は熱を帯びていった。

たとえば、小学生の頃から苦手だった国語。高校3年生の初めの東大模試では小説の問題でたった“1点”というショックな経験もした。国語教師は「あきらめずに勉強を続けていれば、高校3年生の秋には東大の出題問題の文章が“読める”ようになるから、それまで頑張れ」と励まし、記述解答の添削を丁寧にしてくれた。それは答案用紙が全面真っ赤になるほどだったという。

「まさに、“チーム山田春佳”状態でした。数学と国語だけ週1コマ予備校に通っていましたが、あとは先生を信頼してすべてお任せしていました。放課後や学校が休みの週末、いろんな科目の先生がやってきて、指導してくれたのです。特に長い休みには数学の先生がマンツーマンで朝から夜まで机を並べて一緒に難問に挑んでくれました」(春佳さん)

春佳さんの成績は上がり、自信が芽生えてきた。そして本当に東大受験をしたいという気持ちになった。