ご近所さんや長年の友だちが宝物

ひとり暮らしを楽しむうえでお金はもちろん必要ですが、もっと大事なのは人づき合いだと思います。この土地に住んで30年、夫が闘病していた頃から近所の人たちには何度も助けられてきました。

夫が自宅療養していたとき、小学生の息子たちをご実家の田舎に連れ出し、面倒を見てくれたお隣さん。夫が亡くなって晩ご飯を作る気力さえなかったとき、手作りの中華ちまきを届けてくれたママ友。温かい心遣いが身に沁みました。

ご近所さんに頼ったり頼られたりする関係ができているおかげで、孤独を感じることはありません。今はコロナでなかなかできませんが、少し暇ができると、「コーヒー淹れるから、うちに来ない?」と近所の友だちを家に招いて、リビングの丸テーブルでおしゃべりしたり。気心の知れた学生時代からの友だちが、遠方から泊まりがけで遊びに来ることもあります。ご近所さんや長年の友だちの存在は、私にとっては宝物です。

「社食」と称して、人に料理をふるまうのが楽しみ(写真提供◎りっつんさん)

特にひとり暮らしのシニア世代は、歩ける距離にいる友人が頼り。もし私の身に異変が起きたら、すぐ駆けつけて助けてくれるのは息子ではなく近所の友だちです。現に私が病気になったとき、病院に連れて行ってくれたことも。大きな地震があったときは、お向かいさんがドアを叩いて「大丈夫だった?」と声をかけてくれました。

鍵のありかを教えている友だちは近所に3人います。家の中で倒れたとき、鍵が開かないと助けてもらえませんから。そんなに大ごとでなくても、外出先で「ストーブは消したかしら」と不安になることもある。そんなとき、すぐに電話して家の中を確認してもらうのです。そういうことを頼める人がいるのは、生活するうえで大きな安心感に繋がります。