もちろんそれも、信頼関係がなければできないこと。一歩家の外に出たらにこやかに挨拶をする、自分から話しかける――。そこから人との縁ができ、人づき合いがうまく回り始めるのです。いざというときに助けてもらえる環境は自分で作るものだと思って、これからもほどよい距離感で関係を続けていきたいですね。

ひとりになって思うのは、もう自分の面倒だけ見ればいいのだということ。私が健康で気分よく暮らせれば、それでいい。体にいい料理を作るのも、家の中を整えるのも、すべて「自分のため」です。

ある日の昼食。残りものの鶏手羽を煮込んでスープに(写真提供◎りっつんさん)

10年前より、5年前より今が楽しい

平日の早朝には近所の川のほとりまで音楽を聴きながら散歩に出かけ、料理は朝昼晩、キッチンに立って用意します。ご近所さんから畑で採れた野菜を分けていただき、時間のあるときに総菜を作り置きするので、品数は多め。それを一つずつ器に盛りつけるだけでも豪華に見える。目でも舌でも、ひとりご飯を楽しんでいます。

何も背負うものがない今は、女子大生の頃のような気楽さがあります。当時の若さは失われたけれど、そのぶんいろんな経験をしたし、住み心地のいい家やそれなりの蓄えもある。何も持っていなかった学生の頃より、自分の土台ができた今のほうができることは多いはず。時間もあるので、やってみたいことは何でもやる! という境地に至りました。1年半前から、ピアノの弾き語りにも挑戦中。いつかライブハウスで歌いたいですし、ベースやドラムともセッションしたくて。少しずつイメージ通り弾けるようになるのが楽しくてたまりません。

ひとり暮らしを始めて13年。寂しいという感情を抱くことは、もうほとんどありません。どんどん精神が自由になり、10年前より、5年前より今が楽しい。残りの人生を味わい尽くしたいと思います