一日の大半を過ごすリビング。棕櫚(しゅろ)のほうきでいつも清潔に
夫を亡くして以来、ひとりで育ててきた2人の息子も独立。広い戸建てでひとり暮らしをする63歳の女性りっつんさんのブログが、「背中を押してもらえる」と話題です。孤独や不安を感じることなく、毎日を楽しく過ごす秘訣とは(構成=村瀬素子 撮影=藤澤靖子)

子供の独立を機に断捨離を決意

ひとり暮らしの日常を書き留めるようになって、4年半が経ちました。次男に「生存確認したいから」と言われて始めたブログが、まさかこれほど多くの方に読んでいただけるなんて。今でこそ、50歳から始まったひとりの生活を楽しんでいますが、子どもが家を出ていった直後は、寂しくて仕方がありませんでした。

私が36歳のとき、夫は病気で他界しました。当時、長男は10歳、次男は8歳。在宅でテレビ番組などの日本語字幕制作の仕事をしながら、なんとしても息子たちに自立する力をつけてやらなければと、必死で子育てしたものです。

約35年前の自宅。家族と暮らしていた頃は、子どものおもちゃや夫の仕事の資料が溢れていた(写真提供◎りっつんさん)

次男が就職して家を離れた日のことは、鮮明に記憶しています。誰もいないリビングで、「明日から何をすればいいんだろう」と途方に暮れてしまって。

それまでは食事やお弁当の用意をし、文句を言いながらも子どもの世話に明け暮れる毎日。早くひとりになってのんびりしたいと思っていたはずなのに、いざ子どもたちがいなくなるとどう時間を使っていいのかわからず、何も手につきません。

何かしなければまずい、と思って始めたのが、今日やるべきことを書き出す作業でした。洗濯する、銀行に行く、図書館に本を返却する……。些細なことでもノートに列挙することで、私にはやることがあるんだ、と安心できたのです。