「本当は2020年、宝塚で同期だったみねちゃんとペイ(高汐巴さん)と私の3人でディナーショーをする予定だったんです」(撮影=霜越春樹)
2021年1月、元宝塚歌劇団星組トップスター・峰さを理さんの突然の訃報に、演劇界やファンの間に衝撃が走りました。享年68。峰さんの功績を惜しみ、7月7日には追悼アルバム『愛の旅立ち』が発売されたばかり。病を直前まで誰にも知らせず、甲状腺がんで生涯を閉じた峰さんについて、同期であり親友だった寿ひずるさんが、訃報を受けた当時の胸中を本誌に語ってくれました(構成=社納葉子 撮影=霜越春樹)

亡くなる前日に病気のことを知った

1月30日にみねちゃんが亡くなってから、ふと思い出しては泣いています。本当は2020年、宝塚で同期だったみねちゃんとペイ(高汐巴さん)と私の3人でディナーショーをする予定だったんです。それが新型コロナウイルスの影響で延期され、21年の5月に宝塚、7月に東京で開催することになっていました。

その準備を、演出家の三木章雄先生、音楽担当の吉田優子先生と5人で進めていたところだったんです。ただ、コロナ禍もあって、みねちゃんに限らず、なかなか会えずにいました。その間、みねちゃんは闘病していたんですね。

病気のことを聞いたのは、亡くなる前日。ずっとみねちゃんについていた元下級生の美由紀ちゃん(68期の峰央奈奈さん)から電話があり、「実は体調を崩して、ディナーショーには出演できません」と言われました。

私は(元夫の)坂東三津五郎さんの最期を見ています。三津五郎さんも最終的にがんが肺に転移し、胸水を抜く処置を受けていました。みねちゃんは1月に入ってから呼吸困難に陥って救急搬送され、肺への転移がわかったそうです。そして三津五郎さんと同じ、胸水を抜く処置を受けたと聞いた時、「元のように元気になるのは難しいのかな」と、少し覚悟する気持ちがありました。

だけどみねちゃんにどうしてもひと言、伝えたかった。「美由紀ちゃんから状況を聞きました。こちらのことは何も心配せず、治療に専念してね。頑張って」と。「返信不要」のスタンプと一緒にメッセージをLINEで送ったら、わりとすぐに既読になったんです。たぶん読んでくれたと思います。