専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、経済と商品の専門家が、「携帯電話料金新プラン」と「ムーミンバレーパーク」を解説します。

携帯電話料金新プラン

ドコモに続いて、KDDI(au)も一部で4割値下げとなる携帯電話の通信料金プランを発表。業界で初めて通信制限を設けないプランも新設し、話題を呼んだ

 

加入者全員が
安くなるわけではない

2019年6月1日から、NTTドコモが新料金プランをスタートしました。これは総務省による携帯電話料金見直し政策の一環で、料金が最大4割おトクとなるもの。開始後の同社は最大4000億円の減収予定とか。

新料金プランは、「ギガホ」「ギガライト」の2つ。「ギガホ」は、毎日動画を見るようなヘビーユーザー用。1ヵ月に30GBまで使えて月額6980円(税抜、以下同)。「ギガライト」は、そんなに使わない人向けで、月に7GBまでなら2980~5980円。こちらは使った分だけ料金がアップする仕組みです。

この基本料金に、「ファミリー割引」やインターネット回線契約とのセット割、初回6ヵ月の割引などがついてさらに安くなり、最安でギガホ月3980円、ギガライト同1980円からに。たしかに、今まで1万円以上払っていたヘビーユーザーにはおトクで、あまり使っていない人にとっても割安。また、ガラケーからスマホに買い替える人にも、最大1年間は1000円割引が適用されます。

ただし、「加入者全員の料金が4割下がる」わけではありません。ヘビーでもライトでもない「そこそこ」の人、家族割が使えない単身者には、あまり恩恵はなさそうです。新料金は通信料金と端末代金を切り離した「分離プラン」なので、端末の割引がないぶん得にならないケースも出てくるのでは。鳴り物入りでスタートする新プランですが、安さが実感できない人も多いのではないでしょうか。

5月13日にKDDI(au)も同様に新プランを発表。大手3社の最後となるソフトバンクの動向が注目されています。(荻原博子)

 

 

ムーミンバレーパーク

写真右の建物がムーミンバレーパークの「ムーミン屋敷」。ガイドツアー(1000円が別途必要)でのみ、内部に入れる。超人気のため、チケットは事前に公式サイトで購入しておこう。なお左の棟「コケムス」の展示は追加料金なしで楽しめる(撮影:北村森)

 

長短両面あるものの、
世界観は満喫できる

2019年は日本とフィンランドの外交関係樹立100周年にあたります。ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンはフィンランド生まれであり、東京でムーミン展が催されるなど、その物語が再び脚光を浴びていますね。

そんななか、3月、埼玉県飯能市の郊外に「ムーミンバレーパーク」が開業しました。

湖と林に囲まれて「ムーミン屋敷」などの小さなアトラクション棟が並んでいます。こぢんまりとした規模ながらムーミンの世界観が巧みに創出され、その雰囲気は十二分です。

最も印象的だったのは、アトラクション系ではなくて、「コケムス」という棟の1~3階の展示でした。物語に登場するキャラクターを深く知ることができるだけでなく、ヤンソンの生涯も手に取るように理解できます。ムーミンファンでなくても見応えがある。

もうひとつ。「ムーミン屋敷ガイドツアー」(約30分)も面白い。内部は細部まで作り込まれていて、本物の屋敷にお魔したよう。ムーミンやパパとママの寝室、書斎、キッチンなどをガイド付きで巡る趣向です。

半面、気になったのは料金設定です。入園料が大人1500円(税込、以下同)で、1日に何度かあるショーの観賞では追加料金不要なのはいいとして、4つのアトラクション系では各700~1500円が別に必要ですし、飲食は総じて高い(そして中身は期待ほどではない)。駐車場は土日祝だと2500円です。規模の割に出費が相当かさんでくる。また、ムーミン屋敷のツアー以外の有料アトラクションはあっさりしていて、人によっては物足りないかも。

結論は……。すでに日本で人気のテーマパークを想像して訪れると、肩すかしを食らうでしょう。ミュージアムや散歩を楽しむ感覚で訪れるのが大正解、という印象でしたね。(北村森)