圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、今年で107年の歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第2回は「髭の似合う男役」です

初めての髭は、入団3年目

宝塚歌劇の最大の魅力は、「男役」という存在にあります。
宝塚の男役といっても それぞれ個性があります。

爽やかな青年が似合う人。
落ち着いた男性像が似合う人。
体育会系のエネルギッシュ系。
またはフェアリー系、など。

その人のカラー そして個性で多種多様な男役が存在します。

わたくしはと言いますと、
「爽やかな青年役」
は、21年間一度も回って来なかったです。ハイ、残念ながら。

清々しい若者の役に密かに憧れを抱いておりました。

初めて髭をつけたのは
入団して3年目くらいのときでした。

宝塚では入団して7年目までを新人と呼び、1ヵ月間の本公演中に一度だけ、
新人だけで公演をする「新人公演」というものがあります。
初めての髭はその新人公演でした。