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彼らに「選べる自由」を与えたかった

私はおそらく、彼らに「選べる自由」を与えたかった。のっぴきならない状況で、早苗と力は次から次へ居場所を追われ、逃げていく。そこには選べる自由など皆無で、ただもうそうするしかないから、より過酷な道だとわかっていてもそれを選ぶほかない。

これは、物語だけでなく、多くの家庭で、いろんな場面で起こっていることではないかと思う。これではいけないとわかっていても、そうするしかないから選んでしまう。選ばざるをえなくなる。貧困や束縛、暴力や虐待、支配。多くの問題が、そこから生まれていく。後から振り返って結果だけ見れば、どこかで止められなかったのかと誰もが思うが、只中にいる当事者たちは、もうそれしか選択できなかったということが、現実にある。

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私の子どもはまだ6歳と2歳。子どもの「自立」を考えるにはまだ早いが、それでも、自分が母親としてどうありたいか、『青空と逃げる』を書きながら、見えてきた気がする。

それは、子どもたちに「選択する自由」を常に渡してあげたい、ということだ。親の気持ちがたとえどうであったとしても、彼らの前には、自分で選べる可能性を広げて、それを見守りたい。どうしてほしい、という親の希望が、彼らを縛ったり、苦しめたりしないように。

その先に、美しい青空が待っていると信じて。