健康で長生きするためには、食べ物を飲み込む力を保つことが重要です。「のどの力」を高める方法を専門医に聞きました(構成=塚原沙耶 イラスト=毛利みき)

日本人の代表的な死因の一つ「誤嚥性肺炎」

誤嚥(ごえん)性肺炎は日本人の代表的な死因の一つです。そう聞くと、誤嚥は高齢者の問題だと思うかもしれません。しかし実は、のどは40代から老化し、飲み込む力も低下します。最近むせたりせき込んだりすることが増えた人は、要注意。コロナ禍で人に会わなくなり、会話の機会が減ったことで、のどの力が弱った人も多いようです。次のチェックリストで確認しましょう。

\「飲み込み力」チェックリスト/

当てはまる項目が一つでもあれば、「飲み込み力」が弱まっているかもしれません。定期的に確認を

□ 食事中にむせたり、せき込んだりすることが増えた

□ 上を向いてゴクゴクと水を飲むとむせることがある

□ 大きめの錠剤を飲みにくく感じるようになった

□ 食後にガラガラ声になることがある

□ 以前よりも食べるのが遅くなった

□「声が小さい」と言われるようになった

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のどは、飲食物を飲み込む嚥下、呼吸、発声の3つの機能を担う大切な器官です。通常、飲食物は食道経由で胃に運ばれ、呼吸による空気は気管を経由して出入りしています。食道と気管は並んでいますが、食道に空気、気管に飲食物が入らないように交通整理するのが、のどにある喉頭蓋(こうとうがい)です。誤嚥とは、このシステムが誤作動し、飲食物や唾液が気管に入ること。食べた物が逆流し、胃から気管に入る場合もあります。

【誤嚥性肺炎のメカニズム】

(A)飲食物や唾液が、食道ではなく気管に入る(誤嚥)

(B)誤嚥したものが肺に入り、炎症が起きる