森林と河川と海との深い関わり
しかし現在の日本の木材自給率は37.8%(2019年)で、やや増加傾向にあるものの、輸入木材の利用量がかなり多いのが現実だ。また、最近は大雨による洪水や土砂崩れなどが頻繁に起きている。「木は生きている」に登場する山間部に住む大工の一人が、洪水を防ぐためには、適正な伐採と植林で森林の保水機能が発揮できるように整備していくことが重要だと言っていた。そして、建設業が林業と製材所と連携し、地域の木材を使うことによって、環境を守っていきたいと意気込みを伝えてくれた。
取材で地域の森林を歩くと、土壌がふかふかしているのを感じた。森林土壌は、上に蓄積している落ち葉が適度な空間を作り出す腐食層があって、土の密度が低くなっている。スポンジのような感じらしい。その適度な空間に水を吸い込むことができるというシステムで、森はたくさんの水を蓄えておくことができるのだという。
逆に言えば、森林がなくなると水を蓄えられず、雨水が直接河川に流れ込んでしまうため、土砂崩れや洪水の原因になることもある。
モネは森林組合で働くうちに、このような森林と河川と故郷の海との深い関りを知ったのだろう。東日本大震災の時に何もできなかったと思っていたモネが、自分も人の役に立ちたいと考えて行動に移していく。
伐採したヒバの木が、50年後、100年後に誰かの役に立てばいいと願っているサヤカさんの思いを察し、モネは保管場所を探す。登米の気象災害の歴史やデータを見て、神社だけは水害等に遭っていないことがわかった。
神社の宮司さんに、「先人たちが残したものがあると、私たちは安心できる」と言って保管をお願いするシーンに、モネの成長ぶりが描かれている。
サヤカさんが言った「ゆっくりでいいんだ」という励ましを、モネは受け止めて第一歩を踏み出した。
舞台を東京に移して気象予報士として働き始めたモネが、空と海と山の繋がりをどのように伝えてくれるのかが楽しみだ。