イラスト:角愼作
東京・上野にある国立科学博物館で7月から始まった特別展「植物 地球を支える仲間たち」が熱い。巨大なラフレシアのポスターが印象的だが、じっとしていて一見地味な植物たちを、総合的に紹介する大規模な展覧会は初だという。光合成という能力を手に入れた植物たちは、地球上の生き物にとってなくてはならない存在というだけでなく、実は「最強」なのでは?

京都大学農学部を卒業、スミソニアン研究所を経て農学博士として研究を重ね、『植物はすごい』などの著書を上梓している田中修先生に、植物の不思議や進化、知られざる特徴を教えてもらった。今回は、地球で最後まで生き残る、「キングオブ植物」から精鋭2つをご紹介します

イタドリはコンクリートも突き破る破壊力満点の侵略者

イタドリの名前の由来は、この葉をもんでその汁をつけると痛みが取れることから。漢字で書くと「虎杖」で、漫画『呪術廻戦』の主人公と同じ。とても強い植物です。

ところがこの強さ、人間にとってはちょっと困りもの。

19世紀に日本から鑑賞用として伝わったイギリスではこのイタドリが大繁殖し、空き地を占領して道路を破壊。「ジャパニーズ・ノットウィード」と呼ばれて恐れられています。

イタドリのすごいところは、地上では姿を見せずに地中で伸びる地下茎をもっていること。地上部が虫に食べられても刈られても引きちぎられても、地下茎さえ残っていれば生き残り、芽を出します。まさに、トカゲのしっぽ状態。

除草剤の効果も地下茎にはなかなか及ばず、地下だから冬の寒さや夏の暑さにも耐えられると、まさに最強な植物です。

*欧州にイタドリを持ちこんだのは、鎖国時代に長崎に渡来し、日本近代医学の父と呼ばれるドイツのシーボルトです。

イタドリ

【学名】Fallopia japonica
【原産地】日本、朝鮮、台湾、中国
【特徴】地上には姿を見せず、地中に茎を伸ばす地下茎をもっている。そのため、暑さや寒さにも強い。