イラスト:角愼作
東京・上野にある国立科学博物館で開催中の特別展「植物 地球を支える仲間たち」が熱い。じっとしていて一見地味な植物たちを、総合的に紹介する大規模な展覧会は初だとか。光合成という能力を手に入れた植物たちは、実は「最強」なのでは? 

京都大学農学部を卒業、スミソニアン研究所を経て農学博士として研究を重ね、『植物はすごい』などの著書を上梓している田中修先生に、植物の不思議や進化、知られざる特徴を教えてもらった。今回は、食べてびっくり「エグエグ&シブシブ植物」の仲間から、苦いものと辛いものの2つをご紹介します

ゴーヤーは放置されると、かまってほしくて破裂する

ゴーヤーといえば、苦い野菜の代表選手。苦手な人も多いことでしょう。こんなに苦かったら、動物にも嫌われて、タネを運んでもらえないかも! と、心配になるかもしれません。

でも、大丈夫。じつは、私たちが食べている苦いゴーヤーは成熟前のもの。完熟するとタネのまわりが赤いゼリー状になり、ちゃんと甘くなります。

つまり、苦みはタネが完熟前に食べられないためのゴーヤーの作戦なのです。

でも、人間に食べられてしまうなんて「作戦ミス!」と、嘆いているかもしれませんね。

このゴーヤー、せっかく熟したのに動物に気づいてもらえずに放置されていると、おいしい実を見せびらかすように、パーンとはじけて割れて「甘くておいしいんだから食べてよ」と激しくアピールします。その弾けっぷりに、鳥もびっくり。ドン引きしているかもしれませんね。

*ゴーヤーの苦みの成分は、「ククルビタシン」「モモルデシン」「チャランチン」。面白い名前ですね。

ゴーヤー(ツルレイシ)

【学名】Momordica charantia
【原産地】東南アジア、インド
【特徴】苦みが特徴のゴーヤーだが、完熟すると、タネのまわりが赤いゼリー状になり、甘みをともなう。