鉢植えの常識が覆った
北海道は土地によっては外で植物を育てるのがきびしい条件のところもあり、室内でのコンテナ栽培が主流となる。夏のお盆の墓参りの時はコンテナを日陰に移動し、たっぷり水をやってから出かける。冬に3日くらいスキー旅行をする時は、トイレが凍結しないように暖房を入れて出かけるので、植物たちもそこに集合。帰宅後、無事を確認してホッとする。
テレビの園芸番組などでは、毎年新しい土を用意して植え替えると言っていたが、それには手間とお金がかかる。最初にいただいたゴムの木と金のなる木は、3年くらい植え替えずにいた。
このままでは枯れるだろうかと不安になった頃、ビニール袋に土を入れ日光に当て消毒すると、再利用できると解説している本を見つけ、私も実践した。鉢植えの育て方に関する常識は、土のリサイクル経験で覆り、鉢の中身を捨てないでよかった、と思ったものだ。
またある時、5センチほどに育ったキンレンカの根元を芋虫に食いちぎられた。初めての栽培でそれまで順調だったので、片づける気力も失せ、炎天下に3日ほど放置してしまった。ところが、しおれて乾燥すると思ったらそんなにぐったりしていない。試しに根のないキンレンカを土に差してみたら、数日後に新しい芽が出た。挿し木が成功したのは芋虫のおかげ? と見方を新たにし、土のありがたさも感じた。
いつか自宅の庭に桜の木を植えるのが夢だったが、60歳で定住したところは、猫の額ほどの家庭菜園をするので精一杯の広さ。花はやはりコンテナ栽培である。膝と腰に痛みを覚え、そろそろ栽培の規模を縮小しなければならない。だがその日が一日でも遅くなるよう願っている。今日も私は料理の途中でサンダルをつっかけ、裏庭に土のついたねぎを取りに行くのだ。