75歳の時に免許返納した理由

この8月で77歳になりました。自分は元気だと信じ、気合を入れて己を鼓舞すればまだまだやれると思っていても、無理なものは無理、抗えないこともあります。

僕は自動車の運転免許証を75歳の時に返納したのですが、これも老いをはっきりと自覚したから。免許の更新で、軽い気持ちで高齢者講習を受けた時、実際に車を動かしてみると、アクセルを踏み込んだあと、すぐにブレーキに踏み替える動きができない。「これはいかん。もう運転はやめたほうがいい」。その場で免許の返納を決めた。軽~い気持ちで行ったのに、重~い気持ちで帰ることになりました。(笑)

07年から続いていた『秘密のケンミンSHOW』を2020年3月で退いたのも、司会者としての衰えに気づいたから。出演者たちのテンポについていけない、若いタレントさんたちの顔を見ても名前が出てこない。舌の回転には自信があったのに、言葉がつっかえちゃう。のちに、それもパーキンソン病の初期症状のひとつでは、と主治医の先生に言われたけれど、あれやこれやで、つい黙っちゃうことが多くなったんですね。

それまでは常に自分が番組の中心にいたけれど、今の自分はそうじゃない。この疎外感。もどかしさを感じるうちに、どこかで区切りをつけなくてはと思い、番組スタッフに降板の意を伝えました。

歳をとることは、人として劣っていくことではありません。人間として円熟してきた部分、年齢に合った魅力もあるでしょう。けれども、「自分はまだ若い」ということにしがみつき、そこにある現実の衰えから目を背けようとする。それこそが「ミジメ」なことであり、僕の目指す「おしゃれ」に反するものなのです。