黄昏時に無性に寂しくなる

今までは、落ち込むことがあっても長く引きずらず、朝起きてから夜寝るまで前向きだ、なんて自分のことを思っていました。けれど、この頃、ちょっと違うんですよね。会社から帰ったあと、黄昏時に無性に寂しくなるんですよ。そして、「これからどうしたらいいのか」「何を考えればいいんだろう」とわからなくなる。

僕の寝室からは江の島の灯台がよく見えるのですが、夜になって、くるくる回るその灯りを見ていると、「明日も、明後日も、この灯りが見られるだろうか」とまた暗い気持ちになる。

作家の森村誠一さんが、ご自分の老人性うつ病のことを本に書いていらしたけど、「僕もそれかな」と。年齢やパーキンソン病の症状、加えて、コロナ禍で以前のように外に出ていけない。そうしたことが重なり、一種のうつ状態になっているのかもしれません。

そういう時、僕は友人や知り合いに電話をかけまくります。とくに女性のところに(笑)。隣町に住む妹夫婦を、「一緒にめしを食おう」と呼び出すこともある。とにかく、人と話そう、外に目を向けよう。夕暮れの空ばかり見ていないで、灯りをつけて部屋を明るくしよう……そういったことを心がけています。

お酒も食事も自由に楽しめるようになったら、誰とめしを食おうか、どこに行こうかとか、この先、やりたいことをあれこれ考えていると、実際、楽しくなってくるんですね。

3人の子どもたちは心配し、長男など「一緒に住もう」と言ってくれるけれど、何かの時に行き来ができればいい。それより、やっぱり僕は自由でいたいのです。