「歌うことで、新しい自分と出会えたり、もっと成長したいと思えることが、幸せです。」(撮影=篠山紀信)
現在発売中の『婦人公論』9月28日号の表紙は女優の伊藤蘭さんです。2019年にソロアルバムをリリース、歌手活動を再開した伊藤さん。コンサートツアーでキャンディーズの曲も歌うこととなり、助けを求めたのは――。発売中の『婦人公論』から記事を掲載します。(撮影=篠山紀信 構成=丸山あかね)

もう一度歌うことで、新しい自分と出会えた

2019年にソロアルバム『My Bouquet』をリリースし、歌手活動を再開しました。それまでも周囲の人たちから「もう一度歌わない?」と何度も打診されていたのですが、真剣に考えていなくて。芝居の道を歩み始めていましたし、プライベートでは、34歳で結婚し、翌年に出産。子育てが始まり、楽しくも忙しい毎日が続いていて歌の入る隙間がなかったのです。

でも4年ほど前に「そろそろどうかな?」と声をかけていただいた時には、もし喜んでくださる方がいるのなら、と心が動きました。

年齢を重ねると、人との別れや何かの終わりを迎えることが増えていきますが、新たに始められるって素敵なことだなと思って。

やるからには中途半端なことはできない、女優と両立したいという気構えで取り組んだので、それなりの覚悟が必要だったのですが、勇気を持って飛び込んで本当によかった。歌うことで、新しい自分と出会えたり、もっと成長したいと思えることが、幸せです。

先日リリースしたばかりのセカンドアルバムのタイトルは、『Beside you』。「あなたの傍らに」という意味です。コロナの時代だからこそ、せめて音楽だけはそばに置いてほしいという思いをこめました。