「声楽も50代がピークと言われている世界なので、今でも上手くなっていく手応えはあります。でも歌は、上手くなりたいという思い、〈欲〉が強すぎて、どこか苦しかった」

「自分の成長が感じられる」趣味は格別

彫刻をやり過ぎてしまう以外は、節制した生活を送っています。お酒は大好きなのですが、年に一度、地元の西条祭りの時しか飲みません。なのでコロナで祭りがないので2年の禁酒。でも規則正しい生活をすると、身体が応えてくれると気づいてしまったので、節制はやめられませんね。(笑)

身体の調子を整えるために毎日ジョギングもしているのですが、最後には2本ほど短距離ダッシュをします。というのも、最近マスターズというシニアの大会に短距離種目で挑戦しようかと思い立ち、100メートルのタイムを計っているんです。

「100メートル走」って、僕にとっては肉体の強さを象徴するような種目。早く走れることって純粋にカッコいいと思いませんか。まだまだ高校生の時のタイムには戻りませんが、徐々にタイムが縮んできました。

「自分の成長が感じられる」趣味というのは、格別の喜びをもたらしてくれるものです。彫刻は、そういう意味でも楽しくて楽しくて仕方ない。やはり、どんどん上達している感覚がありますから。

声楽も50代がピークと言われている世界なので、今でも上手くなっていく手応えはあります。でも歌は、上手くなりたいという思い、「欲」が強すぎて、どこか苦しかった。高みを目指して練習して、そこに到達すると、さらなる高みが見えてくる。そして過去の自分は随分と青く感じられます。

だから15年前の「千の風になって」を聴き返すのは当時の未熟さを感じてしまって、正直とても恥ずかしい。お客様にCDを「ぜひ聴いてください」とアナウンスする一方で「もう聴かないでほしい」とも思ってしまう(笑)。10代の頃書いたラブレターを見られている心境ですかね。