母親にかかわっていく限り、幸せへの道筋が見えてこないのであれば、「お母さんの負のエネルギーに触れない」と決め、母に邪魔されない安全な場所に身を置くことも必要。刷り込まれた「親を大切に」という言葉に縛られなくていいのです。

長いあいだ不安定な自己のもとに生きてきた人が、自分をつくり直そうとするのは大変なこと。だから私は、心療内科、精神科のお医者さまやカウンセラーの力を借りることもおすすめするのです。「幸福の水を飲みに行きたい」と決めたら、そこがスタート。それまで長く苦しんできたとしても、新たな一歩を踏み出すことで、いつからでも幸せになれるのです。

決別宣言をしてから一度も会うことのなかった母は、2017年に亡くなりました。

“家族団欒”といったものとは無縁に生きてきましたが、今は違います。12年に結婚しました。子どもの頃からの刷り込みで、人に対し「NO」となかなか言えない私に、「NOを言うことを恐れないで。理由なんかなくても、できないことはできない、そう言っていいんだから」と夫はいつも背中を押してくれます。

また、すでに亡くなりましたが、夫の両親は私を息子の妻であると同時に、わが娘のように受け入れてくれ、実の親のもとではついぞ実感できなかった“家庭というもののあたたかさ”を体験させてくれました。父方の伯父伯母、従兄弟たちも私の住む沖縄に遊びに来るなど、親戚同士の交流も生まれています。

母に殴られたり打たれたりしたときのショックはいまだに細胞が覚えています。心の奥底に凍結されたまま、何かの拍子にうわーっとフラッシュバックする。

それでも、自分の人生を生き直すことを選び、自分が自分らしくいられる場所を見つけることができて、今は心から楽しいと思える日々を送っています。