一人暮らしは何しろ「寂しい」
20年春の緊急事態宣言以降、たくさんの仕事が延期や中止になりましたが、友人に会う機会が激減したこともつらいですね。一人暮らしですから、なにしろもう「寂しい」しかなかったです。寂しいという言葉を使うことが、こんなにも恥ずかしくなくなる日が来るとは思わなかった。
これまで絶対に口にするもんかと思っていたけど、もはや強がっている余裕すらない。自分のために料理を作るのも寂しい。なんで醤油の味しかしないんだろうと。またこの味かと。俳優仲間と酒を飲みにも行けないし、居酒屋での人間観察もできなくなってしまったし……。
以前は、弱音は吐いちゃいけない、弱いところを見せちゃいけないと思っていましたが、年齢的なものもあるのでしょうか、40歳を過ぎてからは、自分をさらけ出して素直に「つらい」と言えるようになりました。歳を重ね、人に頼られることが多くなってきたからこそ、僕も頼ろうと思って。壁にぶつかった時は、仲のいい人に相談します。友人とか、先輩とか、仕事仲間とか。自分が誰かに頼った経験って、誰かに頼られた時に活かせますよね。
よく頼る相手ですか? 恥ずかしいので本人の耳には入れないでほしいのですが、小栗旬です。7歳下ですけど(笑)。本気で甘えられるようになったのは3年くらい前からかな。彼は僕に「甘えてもらいたい」とも「甘えさせてくれ」とも言ってくれる人で、とにかくオープンなんです。あそこまで物事をはっきり口にして、行動や態度に表す人間はいないと思います。でも今は、気軽に会いに行けないし、困っちゃいますね。
誰にも会えない期間、僕にとって救いとなったのは、「8時16分ダヨ! 湯呑みでコーヒー」と名づけて始めた毎朝のインスタライブ配信でした。仕事がストップしていた時に自分のために始めたのですが、「朝起きてこれをやる」という目的ができたのは良かった。特に意味のあることを発信していたわけではないのですが、視聴してくれる人がいることが支えになりました。