家族との向き合い方がこの1年で変わった

この1年で家族との向き合い方もだいぶ変わりました。それこそ、弱音を吐けるようになったんです。「寂しい」と、家族に対して素直に言えるようになって、家族もそれを笑ってくれるようになりました。たぶん強がっている僕を見飽きていたんだと思います。

ちなみに、僕の言う「家族」はおばと従妹です。僕が4歳の時に両親が離婚したのですが、親権を取った父が別の女性と結婚して出て行ったので、その後はおばのところで育ちました。だから、僕にとって、従妹は「妹」です。

これまで毎年元日は、まず幼なじみの家に挨拶して、おばの家に行って、1月2日は小泉(孝太郎さん)家に遊びに行くのが慣例だったのですが、2021年は諦めました。孝太郎から「今年、どうする?」とかれたものの、さすがに今は会えないねって。

友人たちもほとんど結婚していますし、僕自身の「家族を持ちたい」「父親になりたい」という願望は、昔より大きくなってきています。どんな父親になりたいか──。そこまではまだ具体的に想像できないですね。

なにしろ今は、コロナで仕事の状況が一変しましたし、まずはその変化を受け入れなくては。今まで通りのことができなくなったことを悔しがってばかりいてもしょうがない。過去においても、常に時代の変わり目に求められるのは柔軟性、行動力です。僕は作り手なのだから、面白い作品を作ることに集中するべきだと思います。

今、役者としてもっと売れたいかと訊かれたら、「売れたい」というより「知っていただきたい」ですね。そして、「ムロツヨシなら見たい」と言っていただけるようにならなくては。

僕は無名の頃からずっと、仕事の現場では、「こんにちは、ムロツヨシです!」とフルネームを名乗って存在をアピールしていました。さすがに最近ではしていませんが……え? 今日も言ってました? うわー、それは無意識ですね(笑)。ただ、みんなが自分を知っているわけじゃないぞ、思い上がっちゃいけないぞという気持ちは常に持っていたいと思っています。

今は目標を探している最中で、苦しいけれど、悲観的になっているわけではありません。苦しんでもいいんです。苦しんだことで、5年後の自分が新しい仕事の楽しみ方、向き合い方を見つけていれば。もっとも、その頃にはまた別の問題が生まれて悩んでいるかもしれませんけどね(笑)。その繰り返しこそが、ムロツヨシの人生なのかもしれません。