【図解】「3つの習慣」でカバーできる12の認知症発症リスク (写真を拡大

浦上 人生の各時期に、気をつけるべきリスクがあります。若年期(45歳未満)からは、知的好奇心の低さ。これは生涯をかけてリスクとなりうる因子です。中年期(45~65歳)は難聴、頭部外傷、高血圧、過剰な飲酒、肥満。そして高齢期(66歳以上)は喫煙、抑うつ、社会的孤立、運動不足、大気汚染、糖尿病。

新田 特に気をつけたほうがいいものはなんでしょうか。

浦上 難聴と言われています。耳から得られる情報が減ると、脳が使われなくなって萎縮する。ですから難聴の方には、早めに補聴器をつけるよう推奨しています。また、今後明らかにされるリスクとして考えられるのが、睡眠。良質な睡眠をとれている人は、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβタンパクが脳に溜まりにくいという研究結果があります。

新田 睡眠は、ついおろそかにしてしまう人が多そう。生活習慣は、若いうちから地道に改善していったほうがいいのですか。

浦上 そうですね。他人が気づくほどの、明らかな認知症の症状が表れるのは、脳神経細胞の約8割が死滅してから。死んだ脳神経細胞はいまの医学では蘇らせることができませんので、認知症は一度発症したら完治できない病気です。だからこそ、発症する前の予防に力を入れていただきたいのです。

新田 先生のいらっしゃる鳥取県では、県をあげて予防に取り組んでいるそうですね。

浦上 患者さんと触れ合うなかで、認知症は軽度の状態からはじまり、ゆっくりと進行していくことに気づきましたが、かつての医学界では「認知症は予防できない」という考えが常識とされていました。そこで私はタッチパネル式の認知症の早期発見ツール(物忘れ相談プログラム)を開発、見逃されやすい初期の認知症やMCIの方を見つけて、治療や予防法をお伝えする活動をはじめたのです。

新田 認知症を予防したくても、早期発見が一番難しいですもんね。

浦上 04年に鳥取県琴浦町の協力を得て予防教室をはじめると、多くの方が参加してくださいました。それを知った平井伸治県知事からの要請で開発したのが、「とっとり方式認知症予防プログラム」です。予防に欠かせない3つの習慣「運動」「知的活動」「コミュニケーション」を組み合わせた内容で、認知機能の改善効果が科学的に実証されています。

新田 体験してみたいです。あとでぜひやり方を教えてください。

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