自力で発症リスクを40%減らせる!?
新田 私も、もしまだ母の介護を続けていたら、感染対策を重視して2人きりで自宅に引きこもっていただろうなあ。でもそれが、認知症をますます重度化させてしまうことにもなるんですね。
浦上 介護をされていたのでよくご存じと思いますが、認知症の方には安心感を与えるため、正面からの声かけが鉄則です。でもコロナ下での介護現場では、「ソーシャルディスタンスを保ち、対面せずに話すように」と指導されているようです。
新田 家族であっても施設に面会に行けないとか、直接触れ合えないところもあると聞きました。
浦上 コロナ対策も必要ですから、まずは自宅でできる予防を実践していただきたいと思います。認知症予防学会では「ウィズコロナ時代の認知症予防」として、(1) 1日30分以上、体を動かす運動を行う (2) 好きなこと、楽しいと感じる活動を日課にする (3) ご家族や友人と、電話やネットを通じて会話を楽しむ、という3つを習慣づけるよう、提案しています。
新田 先ほどから先生とお話ししていて、実は「認知症は予防できるものだったの?」と驚いていました。
浦上 20年、世界的な医学誌である『Lancet』に、「生活習慣などを改善することで認知症の発症リスクが40%下げられる」という研究が発表されました。発症リスクとして確実にわかっているものだけでも、現時点で12あります(次ページ図解参照)。
新田 それは朗報! 「生活習慣などを改善することで」ということは、「自分で変えられるリスク」ということですもんね。