(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、今年で107年の歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第8回は幻の芸名「新 海さん」のお話です

本科生は自由の身に

音楽学校2年目に突入しました。

音楽学校は2年間のみなので
上級生が卒業すると一気に環境が変わります。

予科生時代は自由な時間はほぼ無しでしたが、
本科生になった途端に自由の身になります。

本科生になると、朝の掃除の時間には自主稽古をすることができます。
ダンスや歌やピアノなどの稽古です。

学校のカリキュラムにはタップダンスもあり
私はなかなかのド下手くそでした。
試験もあるし、少し練習してみようとタップマットを広げ、
予科生が掃除をしているところで練習します。

自分も掃除をしながらレッスンを盗み見していたので
見られているかもしれない自惚れ意識で
ド下手くそなりにカッコつけて練習していたのです。